突然の入院から数日が経過し、ようやく退院することができた。入院中に無理をしてオンラインに手を出したりもしたが、体が弱っていると中々集中することができず、中途半端な勝負に成る事が多かった。

佐藤純

今日は鬱憤を晴らすべく、歌舞伎町にあるC店に狙いを定めた。財布の中には兵隊が8人、復帰戦と考えれば十分な資金といえる。主戦場は(ミニ)を選択した。

今回は復帰戦ということで、あまり守ることを考えていない。勝負所では厚く張ることにし、攻めのスタイルで勝負に臨むことに決めている。また、最低25ドル以上を最低ベット額として設定する。

ゲームの履歴だが、プレーヤーとバンカーが入り乱れての混戦模様。『見』に入って暫くすると、3B 3P 3Bの綺麗な罫線が描けた。

「これに乗るしかなかろう?丁度バンカー3目、次回はプレーヤーに張るのが順当だろう!」

そう考えるプレーヤーは多いと思うが、俺の考えは反対だ。綺麗に罫線が描け続けることは稀で、ココからは落ちると判断してバンカーにベットを決める。変わり者に見えるかもしれないが、この飛び上がり者とも言えるやり方で勝利を掴んだ実績があるのだ。

過去には、テンコでバンカー有利と考えている人々に対して、俺はただ一人プレーヤーベットをしたり、罫線表に予めベット金額・ベット箇所を記載してディーラーに託したことも有った。その時はミニとミディバカラをプレーしていて、両方の卓を行き来するのが面倒だったのでそのような愚行に走ったのだが、結果は全勝利と驚きのものだった。最終的には10連勝と、そのときばかりは、俺のことを『預言者』なんて言うやつも居たな。

さて、過去の話はここまでにして勝負に戻ろう。バンカーに50ドルを置き、様子を見ていたのだが、危なげなく勝利してしまった。当然置き張り確定だ。2度目の勝負もあっさり勝利し、トータル100ドルほどのプラスだ。現在の罫線は 3B 3P 5B と成っている。このままツラを狙い続けてもいいのだが、そろそろ切れるころだと判断し、次の勝負はプレーヤーに100ドルを置くことした。

プレーヤーの一枚目『A』に対してバンカー『Q』と、両者とも低空飛行だ。続く二枚目だが、プレーヤーに来たのは『7』でナチュラル8。ほぼ勝利は目前といった所だろう。自分の口元が緩んだのが分かったが、次の瞬間にはその笑みが引き笑いに変わってしまった。なんと、バンカーに来たのは『9』!一瞬にして勝利は泡となり、ディーラーさんは笑顔で「プレーヤーエイト、バンカーナイン、バンカーウイン」なんてしゃべっている。要らないのよ9点なんて!勝負どころでこの様な現象が起きるのは俺だけだろうか?勝利を確信していただけに、気分は良くない。更にプレーヤーに200ドルを置き、リカバリーを試みたのだが呆気なく敗北してしまった。

ここで一旦冷静さを取り戻すため、気分転換の意味も込めてサイトの変更依頼をかける。『クルーズ』から『C ライン』というサイトに変更だ。こちらのサイトはアングラサイト独自のサイトになると認識しているので少し仕様を解説しよう。このサイトのバカラだが、下は5ドルから500ドルまでの範囲で張れ、サイドはタイのみになる。一般的なカジノより、アングラハウスのバカラに近い仕様に成っている。

ログインするまでに顔の火照りもなくなった。後はどうするか….しばらく考えた結果、一発逆転を狙うことに決める。いたずらに兵隊を減らすことは辞め、潔くここで生死を決めるのだ。

500ドルを、少しでも勝率の高いバンカー側にセット。後は行く末を見守るだけなのだが、結果を見るのに臆してしまった。トイレに駆け込み時間を潰す。さらに歯磨きをしてゆっくりと帰卓し、恐る恐る残高をチェックする。

・・・どうやら今回は死なずに済んだようだ。残高には1100の数字が示されていた。

復帰戦としては及第点だろう、画面を閉じてアウトコール。今日は気持ちよく眠れそうだ。

この物語はフィクションです。あくまでも「読み物」としてお楽しみいただくためのものであり、インカジ(カジノカフェ)を奨励するものではありません。ネットカフェでのインカジ利用では摘発者が頻発しています。

前へ 記事トップ 次へ