妻はご機嫌が悪そうだ。携帯を手に「あくせく」していらっしゃる。
「ちょっと!あなた!早く来なさいよ!!」
「なんでしょうか……」
「なんでしょうかじゃないわよ!!」
「これどうしてくれるの!!」
「ど、どうしたの?」
「iphone よアイフォン、これぜんぜん使えないじゃないのよ!」
「え?なんのこと?」
「これデコメできないじゃないの!」
「わたし可愛いデコメで保護者会やお友達にメールしたいのに、iphone じゃデコメできないじゃないのよ!」
「あなたが最新機種、買ってくれるからっていうから、いやいや使ってるのに」
「わたし以前のガラケーの方がよかった!!」
「いいじゃんデコメなんて、小娘じゃあるまいし、もういい年なんだから……」
「なんですって!!!」(ギヌロ!!)
「あ、すいません。」
「だいたいなによこれ、なんでわたしこんなの使わなきゃいけないの!」
「いや、ほら、時代はスマートフォンだし、アイフォンとアンドロイドのふたつがあるから、これからのカジノのこともあるし、金額高いけど、どっちとも持っていた方がいいかなぁ、なんて……」
「それで、本当はぼくがアイフォン使いたかったんだけど、やっぱりアイフォンの方が人気だし、きみもアイフォンの方が喜ぶだろうなぁ、と…」
「実際、ぼくアンドロイドにしてちょっと後悔してるし……」
「嘘つきなさいっ!!」
「え!? そんな… iphoneめちゃめちゃ人気だよ」
「ほんとに、みんなほしがってるんだから!」
「嘘、嘘、あなたはぜんぶウソ! 結婚前から嘘つきなんだから!!」
「ファミコンとお酒はたしなむ程度なんて言っていたのに、毎日じゃない!」
「発泡酒くらい飲ませてください。それに iphone と関係ないし……」
「なにこれダサイ!」
「わたしこんなの持ってると恥ずかしいわ!」
「あなた、わたしが保護者会で笑われたらどうするのよ!」
「それで子供がいじめられたらどうするの!」
「わたし、子供が大きくなってもアイフォンだけは使うなって、キツく言い聞かせるわ!」
「パソコンに繋いでも音楽が入らないのも気に入らないのよね!」
(WMPと一生懸命同期されようとしていました……)
「CD借りてきても音楽入らないし!」
「あなたのせいでわたしの人生滅茶苦茶じゃないのぉぉおおお!!」
「ご、ごめんね」
「じゃあ、iphone の使い方と iTunes の使い方、ぼくが教えるから」
「やってみれば簡単だよ!」「すぐわかるから!」
その後、わたし、超忙しい年末に2時間ほど iphone の解説させられました。
数日後…
「あなたぁ~♪」
「今日わたし iphone 持ってるって、カッコいいし、すごい~なんて言われちゃった!」
「それでね、友達にも iphone の使い方、簡単だからって、教えてあげたのよ♪」
「みんなビックリしちゃって、茶話会で3時間ほどアイフォンの解説しちゃった。」
「やっぱり、アイフォンよね!」
「娘もアイフォンほしいって♪」
「でも、ホラ、電話はまだ早いから、代わりに iPad でも買ってあげたらぁ?」
「甘いかなぁ、でもクリスマスだしいいでしょ♪」
「そ、そうだね……」